Turnover

コールセンターの離職率はなぜ高い?
数字の見方と、「採用で埋めない」改善アプローチ。

コールセンターの離職率は、単一の平均だけでは判断できません。このガイドでは、業界調査の分布を読み解く方法と、自社で離職が起きている窓口・時期・業務負荷を特定し、「辞めたら採る」を繰り返さないための改善アプローチを整理します。

TL;DR

結論から。

数字の見方

業界調査の離職率は、オペレーター全体・正社員などの区分によって分布が異なります。単一の「業界平均」ではなく、自社の窓口・雇用形態・時期別の数字と比較します。

改善の方向

採用で埋め続ける対症療法は、採用難の今、成立しにくくなっています。持続的なのは、離職理由そのもの——後処理負荷・一人で抱える不安・ピーク時の疲弊——を減らす方向です。

Average

離職率は、どのように読むべきか。

まず現在地を知るため、調査の分布と自社の切り口をそろえます。

01

単一の平均値ではなく、分布で見る

業界調査では、オペレーター全体の直近年度の離職率について「5%以下」とする回答が48%、「6〜10%」が34%でした。これは回答企業の分布であり、業界全体の平均値や自社の目標値としては扱いません。

02

雇用形態・窓口別に分ける

同じ調査でも、正社員やオペレーターの区分ごとに分布が示されています。自社でも雇用形態、窓口、勤続年数、繁忙期を分け、どこで離職が起きているかを確認します。

03

自社の因果は自社データで確かめる

離職の理由を業界平均だけで決めつけず、退職理由、後処理時間、応対難度、教育・レビューの記録を並べて確認します。改善の出発点は、自社の負荷が偏っている場所を特定することです。

Why

離職理由を、5つの負荷から確認する。

離職理由を一般論で決めつけず、負荷・評価・採用市場のどこに課題があるかを自社データで確認します。

01

感情労働の負荷が大きい

苦情・クレームへの対応、常に評価される緊張感、待ち呼のプレッシャー。電話応対は事務系職種の中でも忌避されやすく、「事務のつもりで入ったら電話番だった」というギャップが早期離職の典型パターンです。

02

後処理・入力に追われて達成感がない

1件話すたびに要約・分類・履歴入力が待っています。後処理(ACW)が長いセンターほど、対話ではなく記録作業に時間を取られ、「何のための仕事か」を見失いやすくなります。

03

評価とフィードバックが属人的

品質評価が一部通話の抜き取りモニタリングに依存していると、頑張りが数字に表れず、指摘は感覚的になりがちです。納得感のない評価は、待遇への不満より先に離職理由になります。

04

キャリアの先が見えない

オペレーターからSV、その先の道筋が示されていないと、仕事に慣れた3年目前後で「ここにいて何が積み上がるのか」という理由の離職が増えます。

05

増員の選択肢が閉じ、残った人に負荷が集中する

事務系職種の求人は全体として絞られる傾向にあり、電話応対の業務量は減っていないのに「人を足して解決する」選択肢が閉じつつあります。欠員が埋まらないまま既存メンバーの負荷が上がり、それがまた次の離職を生む——採用市場の構造そのものが悪循環の起点になっています。

5つ目の「増員の選択肢が閉じる」構造は、AIと仕事の関係を整理したコールセンターの仕事はAIでなくなる?でも扱っています。

Real Cost

離職の本当のコストは、求人費だけではない。

「辞めたらまた採ればいい」が成立していた時期の感覚のまま、離職コストを過小評価しているケースが少なくありません。

01

採用コストが離職のたびに再発生する

求人媒体費、紹介料、面接・入社手続きの工数は、採用のたびに発生します。媒体・地域・採用方法で大きく異なるため、自社の実績を採用1名あたりで記録します。

02

教育期間は戦力にならない

研修と立ち上がりの1〜3カ月は独り立ちできず、教える側の工数も奪います。せっかく育った頃に辞める循環では、教育投資が蓄積になりません。

03

残った人の負荷と品質が悪化する

欠員分の呼量は既存メンバーに乗ります。応答率・後処理の遅延・応対品質のばらつきという形で顧客体験にも波及し、「辞める→残った人が疲弊する→また辞める」の連鎖になります。

Approach

「採用で埋めない」改善アプローチ。

評価制度やキャリアパスの整備と並行して、いま現場にかかっている負荷を直接減らす打ち手がAIの活用です。人を減らすためではなく、残ってほしい人が辞めない環境をつくるための導入です。

01

定型の一次応対をAIに任せ、着信の波から人を守る

営業時間・手続き案内などの定型問い合わせや時間外の受付を自動応答(Voice)に任せると、人が受けるべき通話に集中できます。ピークに合わせた増員を前提にしない体制は、繁忙期の疲弊を直接減らします。

02

通話中の支援で「一人で抱える」状態をなくす

通話中に回答候補・確認項目が提示される(Assist)と、新人でも一定品質の応対がしやすくなり、隣に聞ける人がいない不安が減ります。新人の立ち上がり期間の短縮は、最も離職が集中する時期への直接の手当てです。

03

後処理を自動化し、対話に時間を返す

要約・分類・履歴入力の下書きをAIが作り、人は確認して送信する(Log)設計にします。後処理時間、修正率、教育レビュー時間をPoCで測り、負荷が実際に下がるかを確かめます。具体的な短縮方法はACW短縮ガイドで解説しています。

04

全通話データで評価とフィードバックに根拠を持たせる

全通話がテキスト化されると、品質評価が抜き取りの感覚評価からデータに変わります。根拠のあるフィードバックは納得感を生み、教育も「どこでつまずくか」から逆算できるようになります。

後処理負荷の内訳と短縮の具体策はACW(後処理時間)短縮ガイド、導入の進め方はAI導入ガイドで解説しています。

FAQ

コールセンターの離職率に関するよくある質問

コールセンターの離職率の平均はどのくらいですか?

単一の業界平均をそのまま使うのは避けるべきです。コールセンター白書2025の調査では、オペレーター全体の直近年度の離職率は「5%以下」48%、「6〜10%」34%という回答分布でした。雇用形態や窓口で差があるため、自社でも同じ切り口で分解して見ます。

コールセンターの離職率はなぜ高いのですか?

理由は窓口ごとに異なります。苦情対応などの応対負荷、通話後の要約・入力、評価とフィードバックの納得感、キャリアの見通し、欠員時の負荷集中を、退職理由と業務データの両方から確認してください。

離職率を下げるにはまず何をすべきですか?

最初にやるべきは、離職理由と負荷の偏りの特定です。どの窓口・どの時期に離職が集中しているか、後処理にどれだけ時間を取られているかを分解します。そのうえで、採用で埋め続けるのではなく、定型応対の自動化・通話中の支援・後処理の自動化など、離職理由そのものである負荷を減らす打ち手を優先するのが持続的です。

AI導入で離職率は本当に下がりますか?

保証はできません。時間外・定型の一次応対、通話中の回答候補、要約・入力の下書きで負荷を下げられる可能性はありますが、離職率、後処理時間、教育レビュー時間を導入前後で測って判断します。

Contact

離職の原因になっている負荷から、一緒に特定します。

窓口の用件内訳・後処理の実態・繁忙の波を伺い、自動化する範囲と人を支援する範囲の切り分けからお手伝いします。